論 考

日米の厚顔無恥

 1月28日、トランプ氏が「イスラエル・パレスチナ和平案」を提案した。パレスチナの非軍事化を条件として、米国が500億ドル投資する。イスラエルがパレスチナ地域を開発しているのを4年間凍結するなどである。

 パレスチナのアッバス議長は「世紀の偽善」だとして即刻蹴とばした。

 そもそもイスラエルによるパレスチナ地域の開発というのは違法な入植である。開発を凍結と言われても、ハイ、そうですかとはいくまい。

 結局、この和平案なるものはイスラエルのパレスチナ地域占領を承認するものだというパレスチナの抗議は当然である。

 和平案というような看板を掲げるのは、イスラエル国内で汚職疑惑に悩むネタニヤフ首相への助け舟である。トランプ、ネタニヤフ両氏が並んでいるのがアウトローの頭目に見えて仕方がない。

 こちらでは、安倍氏が「幅広く募っているとの認識で募集しているとの認識ではなかった」と、予算員会で意味不明の発言をした。ここまで厚かましく逃げを打つ頭の中を忖度すれば、世間は「桜を見る会の私物化」と批判するのであるが、安倍氏にすれば、「自分が国家であるから、私物化ではない」らしい。

 したがって官房長官が「国家機密だからデータを公表できない」という発言をするわけだ。すなわち、民主主義国家であるはずが、いつの間にか国家主義の専制国家になっている。スケールの小さい話だが、隠されている事実は極めて大きな問題である。

 日米のトップリーダーが、いずれも理性なく、善悪の区別がつかず、なおかつ厚顔無恥である。このような方々が、天下国家の政策を論じるという、まことに剣呑な時代にある。