論 考

ゴーン・ショック?

 面白半分で言うのではないが、法務大臣も検察も、まんまとゴーン被告に逃亡されたのでも怒り心頭らしい。おまけに、日本の司法制度の信頼感が揺らぐのではたまらないから、大臣や検察が国際社会向けにコメントを発した。

 人質司法と言われるのは、ゴーン氏の主張のみではなく、従来から国内でもおおいに問題にされている。

 8日、ゴーン氏が記者会見で1日8時間、弁護士立ち合いなしで取り調べされたと発言した。検察の反論は、拘留130日中取り調べは70日で、1日4時間程度だという。余計なことだが、これが事実であれば、拘留は70日でよろしいではないかと、また反論されるかもしれない。

 弁護士と1日2時間程度会見できるとも反論するが、ゴーン氏は、検察官による取り調べに弁護士が立ち会えないと不満を言っているのであってズレている。これも、従来から指摘されていることで、改善するべきだ。

 ゴーン氏は、日本は推定無罪の考えがないと批判した。確かに、メディア報道も逮捕された以降は、ほとんど当局発表に基づいているから、社会全体の気風が批判されるような方向に流されやすい。

 目下、邦字紙はいずれも「逃亡せずに堂々と法廷で所論を述べるべきだ」という立場である。ただし、国際的に日本の司法が奇異の視線を浴びせかけられそうである。