論 考

中東情勢の危惧

 イランのソレイマニ司令官の殺害は特殊部隊の手法らしく、ならば実行したのはイスラエルではないかという観測もできる。

 というのは、イランはなんとか現状打開の方策はないかとして、先月、役に立ちそうもない! 日本にまで、ロウハニ大統領が訪れた。また、昨年9月にイランがサウジ石油施設を攻撃したとされるが、水面下で、イランとサウジが対話を模索しているという情報もある。

 イスラエルは、ネタニヤフ氏の人気が低落しており、中東の緊張を高めて国内の人気回復を図ろうという狙いがあったとも考えられる。

 トランプ氏がイラン転覆の意図はないと声明したのも、そうであればかかる事態を引き起こせば歯止めが利かなくなるくらいの分析はしていたはずだ。かねて、トランプ氏の中東外交はイスラエルに引き回されている。

 中東のさらなる不安定化は避けられない。イランの自制に大きな期待をかけられるだろうか。火薬庫と危惧され続けてきた中東が、大きな戦争状態に入らない保証はない。

 政治家が国内事情から、外に活路を作ろうとする危険な悪癖を止めさせなければ世界はどこまで行っても断崖絶壁から戻れない。