論 考

今年の課題は勉強

 某氏からの年賀状に「次から次へと問題が出るのはどうしたことでしょう。今の政治家や企業・官僚のトップには正しい生き方という考えがないのでしょうか」と書かれていた。多分、どなたさまも共感される疑問だろう。

 わたしは難解な哲学論文をとつおいつ読んでいるが、某氏と同じ疑問を解くのも1つの課題だ。もし、その回答を発見したら、ちょっとした成果である。こうありたい、こうあるべきという論はどこにでもあるし、よろしくない事柄が「なぜそうなのか」についての、表面的な解釈は比較的簡単にできる。

 しかし、直ちに解決策が導けないのは、「なぜ」の本質に至っていないからだ。デカルト(1596~1650)は、「あらゆる知識の絶対確実な基礎」を求め、これ以上後がないところまで追いつめるとしたが、この方法的理屈は理解できるが、果たして追い詰められるものなのかどうか。悩ましい。

 まあしかし、考えないより、考えるほうが悪くはないだろう。箱根駅伝をときどき覗きながら、考えたり、さぼったりしている。ゴールがなければ走り出せないというのは事実である。真っ青の空のようにはスカッとしない。

 ルネサンス研究の泰斗林達夫さんは(1896~1984)は、ご自分の人生をたとえて、「舞台に立つより稽古が好き」で、「まだ人生の幕が上がっていない」と言われた。この名言を語られたとき78歳だったと思う。