日々道楽

踊るストライキ

 マクロン年金改革に反対するフランス労働組合CGTのストライキやデモに注目している。パリのオペラ座で、ストライキ中の40人ほどのダンサーが『白鳥の湖』を踊って年金改革反対のデモンストレーションをおこなった。劇場関係でもストライキですでに10億円以上の損失が発生しているそうだ。

 ダンサーの年金制度は、フランス革命以前のルイ14世(在1643~1715)が創設した。ルイ14世は、5歳で即位したが、治政は70余年に及び、「Roi Soleil」(太陽王)と呼ばれ、フランスの「Grand Siecle」(偉大な時代)と呼ばれたフランス王制時代の最盛期であった。

 フランスには1533年に、フランス王に嫁いだカトリーヌ・メディチがイタリアからバレエを伝えた。ルイが5歳で即位したとき、5時間のバレエ公演で祝い、15歳でルイ自身がバレエのデビューを果たし、1670年で引退するまで踊っていたそうだ。

 ルイ14世は王立舞踏アカデミーや科学アカデミーを設立して、ルネサンス期の芸術家や文化人に多額の年金を支給した。ラ・フォンテーヌ、ラシーヌ、モリエール、コルネーユ、パスカル、ロシュフコーなどなど、ドイツ人のシラーもパトロネージュを受けたのであった。

 ルイ14世の絶頂期は1680年、それから339年目に、ダンサーのストライキという次第だ。ダンサーは8歳くらいで踊り始めるそうだが、10代後半になると怪我も少なくない。年齢が上がると、関節炎や疲労骨折、ヘルニアに悩まされるという。

 話が飛躍するが、すべての労働はその本質において芸術である。その自負と自信をもって働く人生を作っていきたいものだ。