論 考

国民と権力

 イギリス選挙戦開始当時は保守党の圧勝を予想する見解が多かったが、保守党は大挙議席を失い、過半数を獲得できず。EU離脱への采配を大胆に揮うというメイ首相の目論みが外れた。

 一方、労働党は大幅議席増で意気上がる。もちろん第2党だが、コービン党首は、この結果はメイ首相が辞任するに十分な理由だ、と余裕のある発言。保守党内部の内輪もめ再燃が予想され始めた。

 アメリカでは、前FBI長官コミー氏が上院公聴会で発言した。内容はすでに報道されていたけれども、トランプ氏に対する堂々たる一刺しだ。ワンマン経営者と大統領を同じように考えているトランプ氏は、またまた追い込まれた。共和党議員の冷たい視線も感じられる。

 英米と日本となにが違うのだろうか? 労働党なんてダメだと言っていたが、いまや政権復帰を狙える地平に戻った。コミー氏を前川氏に置き換えてみればいかがだろうか。

 英米の有権者は、デモクラシーにおいては、権力者が権力を軽々に扱ってはならないという見識を確立しているのだ、とわたしは思うのであります。