論 考

職場の民主化は1人ひとりの責任だ

 ハラスメント防止法指針が正式に決められたが、やはり、腰を引いているのは隠せない。どうも、わが財界・厚労省には本気の熱気が感じられない。

 今年6月21日には、ILO(国際労働機関)が、暴力・ハラスメント条約190号と勧告206号を決定した。もちろん、日本も加盟している。

 それによると、暴力とハラスメントは、人権侵害、機会均等への脅威であり、人間らしい仕事と両立しない。持続可能な企業とも両立しないとする。

 労働者、契約の形態にかかわらず働く人々、インターンなど訓練中の人、雇用が終了した人、ボランティア、職探し中の人、求職への応募者、使用者の責任を果たす個人などが対象である。つまり、全面的にすべての人が対象である。

 わが指針は「ハラスメント全面禁止」の姿勢が弱い。

 また、2011年には、国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が決定され、2016年に「ビジネスと人権に関する国別行動計画の指針」が決定されている。国家の人権保護義務、企業の人権尊重責任を定め、侵害に対して救済手段を確保するというものである。

 職場で働くみなさんに心してもらいたい。雇用される立場は雇用する側と対等ではない。弱い立場である。だから、組合をつくって集団的労使関係において個別的労使関係の対等・安定を求めるのである。

 職場の仲間の同士が自由闊達、虚心坦懐に話せるようにしなくてはならない。誰かがイジメられているときに、傍観するのは同罪である。

 職場の民主主義を実践するためには、働く人1人ひとりの心構えがまず大切なのだ。