論 考

白湯がおいしい

 数日入院して飲食できなかった人が、白湯を飲んで、「なんとまあ、おいしい!」と驚かれた話はよく聞く。

 わたしは入院と無縁で来たし、何も口にできないという体験はまだなけれども、白湯がおいしいのはよくわかる。水もおいしいのであるが、こちらは喉の渇きを潤す感じで、一気に飲むのが朝起き掛けの習慣である。

 若いときにはウィスキーにせよ、ブランデーにせよ、豊潤な香りや複雑な味わいがよろしいが、加齢とともに、香りや味が少々煩わしくなるのか、ウォッカやジンに傾斜するという説もある。無色透明無味無臭になるというわけ。

 その延長に白湯があるとすれば、税金を払って酒精を飲まなくてよろしいのだが、やはり、まだ、酒精のほうは、これはこれで手放しがたい。

 パソコンに向かいながら白湯を飲んでいると、ほろ酔い加減になった――なんてことはまだないのである。