論 考

トランプ氏を孤立させる動き

 NATO創設70周年のロンドン会議は、首脳間の不協和音が出たと指摘されている。会議前にマクロン氏が「NATOは脳死状態」だと刺激的発言をした。トランプ氏はマクロン氏との会談でこれを「非常に不快」であると主張したが、マクロン氏は断固譲らなかった。

 マクロン氏の本意がNATO無用論にあるのではなく、足並みが不揃いになっていることについて警鐘乱打したのであるし、さらに言えば背景にはトランプ氏が世界秩序を乱すことばかりやっていることに対する痛烈な批判がある。

 エルドアン氏がシリア北東部のクルド人武装勢力についてテロ組織と認定しなければバルト三国防衛計画の更新に反対すると恫喝したが、マクロン氏が明確に反対した。さらにトランプ氏によって抑え込まれて、マクロン氏の勝利だ。

 今回の会議について報道されている内容を見ると、トランプ氏を孤立させる動きが暗黙のうちに広がっているように見える。ジョンソン氏もトランプ氏を避けていた。トランプ氏の長く中身のない記者会見を、トルドー氏、ジョンソン氏、マクロン氏がおちょくったという場外記事はおまけだが、要するに、トランプ氏を立てても修復の見込みがないことから首脳連が、見えざるトランプ包囲網を形成しつつあるように、わたしは見る。