論 考

韓国の人々に期待する

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 尹氏を高位公職者犯罪捜査処が拘束した。

 尹氏が昨年12月3日戒厳宣布し、数時間後解除。12月14日に国会が弾劾決議して、1月3日捜査処が大統領官邸へ尹氏拘束に向かったが、大統領警護処に阻止された。

 国の機関同士が争う事態になるのではないかと危惧されたが、15日には衝突などはなく尹氏を拘束した。

 世論調査によると、拘束の執行賛成54%、反対45%。与党国民の力支持率40.8%、野党共に民主党支持率42.2%である。戒厳宣布に驚いた当時と比較すれば、この間に人々の気持ちにかなりの変化が出たようだ。戒厳令を堂々と支持する声も上がっている。

 与野党支持率の変化はさらに著しく、共に民主党が大差をつけていたのに、目下は拮抗している。与党支持が増えたというわりも、野党批判が強まったのであろう。

 主要新聞の論調も、当初は保守系革新系を問わず、戒厳宣言批判が圧倒していたが、尹氏が拘束されて、世論動向を探っているような感じだ。

 強くなったのは、与野党対立が深化していることに対する懸念で、「いまは銃を持たない内乱状態だ」というようなコラム(朝鮮日報)も書かれた。

 順調に進めば、今後は、裁判所の弾劾審査と、捜査処の刑事責任聴取が並行することになるが、拘束された尹氏は供述拒否をしており、まだぎくしゃくした動きが続きそうだ。

 日本の新聞は、韓国の歴代大統領が司直の手にかかっており、与野党による政治報復の連鎖を指摘する。たしかに、日本の政界の生ぬるい動きと比較すれば、強烈な印象である。

 しかし、依然として南北朝鮮の戦争状態が継続するなかで、自力で民主主義を建設してきた人々の自負と誇りを考えれば、まあまあ、なあなあ的気風の出番はなかろう。

 アメリカをはじめ世界中で民主主義を破壊するような動きが高まっているが、韓国の人々が現在の困難を克服されるように期待は大きい。