対コロナウイルスの専門家会議の動向がどうもふらふらしているのではないかと思えて仕方がない。
2月には、PCR検査を絞り込んで軽症とみられる人については直ちに検査をしない方針であった。理由は、医療体制崩壊を恐れてのことである。
しかし、早期発見・早期治療は医療において鉄則であって、世界中から、日本の検査体制の不備が批判されていた。
そこから、対人接触8割減らすという大作戦が打ち出された。アメリカでは日本よりも厳しいロックダウンをおこなっていたが、その本音の目標は5割程度を目論んでいたらしい。
この戦略的違いは、小さなことのように思えるかもしれないが、わたしは、目標設定における見識の大きな違いだと思う。圧倒的多数の人々に大きな態度変容を期待するのは、結局は見通しを甘くする。
専門家会議は、つい先日、3月初めには検査拡大を要望していたと発言した。しかし、それがどの程度本気の提言であったのか、それから1か月過ぎても、検査対象は安倍氏がたびたび公言した2万人/日の半分にも満たない。
いかにも専門家会議のアリバイ説明みたいで信用しにくい。科学的知見に基づかないで戦略戦術を決定することは正しくない。
実際の感染者の掌握が極めて不明な状態において、日々の感染者数を基にして決定する方針というものは限りなく現実から遠いからである。
6日に、大阪府の方針についての危惧を述べた。政治家的パフォーマンスを軸としていることは否定できない。しかも、それが大衆的人気を獲得しているらしいのがさらに気がかりである。
専門家会議は感染症研究者の一部の人たちである。専門家会議以外の学者・研究者の知見をもっと発表してもらいたい。