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泉下の前島密はなんと思うか

おかぼん

 今年も師走となり、年賀状を書く季節がやってきた。以前はそう言うと皆が皆「うんうん」とうなずいたものだが、昨今は様子が違う。インターネットの急速な普及で年賀状を出す人も枚数も年々減り続け、2004年のピーク時に比べ半分近くに減っている。

 数年前まではそれでも郵便局員にノルマを課して販売に躍起になっていたが、もうこれは社会の趨勢でどうにもならないと思ったのか、派手な販売も影を潜めた感がある。金券ショップの販売価格も以前はノルマに耐えかねた局員が大量に持ち込むのか、年末ギリギリになってもかなりの安値で販売されていたものが、昨年など早々に売り切れとなっていたようである。年賀状だけの割引料金も早々になくなり、1月2日の配達も取り止めたり、どうも元気がない。まあそれはそれで良いとしても。

 一般の郵便についても、昨年から法人の集荷サービスが廃止され、土曜日の配達廃止も取り沙汰されている。切手もシールや変形など、いろいろな特殊切手は多数発行されてきているが、通常切手の種類は激減している。以前は、書留用、書留または簡易書留+定形郵便用、通信教育用、国際郵便用の額面の切手などがあったが、すでに姿を消した。高額の千円切手もまもなく姿を消す。いくら人手不足とは言え、このようにサービスをどんどん縮小していって、郵便事業は果たして生き残ることができるのだろうか。

 はがきはとうとう63円となった。かつては概ね封書の半額以下が普通で、私の小学校時代は封書15円、はがき7円であった。それが今や封書84円に対しはがきは63円もする。本来なら42円のものが63円はやはり高い。郵便書簡と同料金である。圧着はがきの普及が影響したのであろう。

 ところで国際郵便はがきの料金はいくらかご存じだろうか。航空便が70円、船便は国内宛より安い60円である。もっとも国内宛には消費税が含まれているため、本体価格では国際郵便より安いのではあるが。

 9月までの62円はがきは1円切手を貼って使用できる。戦後ほぼ一貫して1円切手の図柄は郵便事業創始者の前島密である。さて郵便制度の父は、郵便事業の現状をどのように見ているのだろうか。