最近聴講したAI関係のセミナーで、「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」が紹介されて驚愕している。
その中に駅務員、電車運転士がある。そう言えば、私の子供の頃は国鉄を語るまでもなく、鉄道業務に携わる人は結構多かった。駅で言えば、切符売り場、改札口すべてに人がいた。駅以外でも大きな踏切には警手がいた。長い貨物列車の最後尾には必ず車掌車が連結されていた。それももう今は昔の話である。
今後この上、鉄道業務から何がなくなるのであろう。最近は東京通勤圏内にも無人駅が増えつつあるのをご存じだろうか。利用者がそれほど多くなく、切符の販売や精算が少なくなった駅では、ラッシュ時間帯を除いてインターフォン対応になっている。閑散時に駅でトラブルが発生したときの対応はどうなるのだろうか、と思うのは杞憂だろうか。
無人運転の電車が自動で走って自動で停まり、もちろん駅も無人駅。鉄道員にお世話になるのはラッシュやイベント開催の多客時と豪華列車に乗るときくらいになるのも、そう遠くない先であろう。
代替が進む職業には○○事務員、○○工、○○オペレーターなど、マニュアル通りに行う定型的な仕事がずらりと並ぶ。これに従事してきた人にいきなり専門的創造的な仕事に転換と言ってもそう簡単にはいかないのは自明である。
かつて路面電車が廃止されたときに運転手や車掌は、地下鉄やバスの運転手や車掌になっていった。あるいは乗客減で、○○鉄道が廃止されても、△△電鉄に移ることもできた。また会社の業績が悪くなり人員整理にあっても、経理は経理に、営業は営業に他社に転職することもできた。しかし、今度は職種そのものがこの世の中から消えてしまうのである。
再教育すればよい、言葉で表すのは簡単でも実態はなかなか困難なのではないか。労使は一体となってこの大きな変化にどのように対処すべきか、真剣に考えるときが来ているように思える。一つ間違えば、会社自体は潰れなくても、巷に大量の失業者があふれる暗黒の時代になりかねないのである。