論 考

残業

 原稿を書いていてひょいと気づいた。今年はチキンラーメン発売60周年だ。

 わたしが社会人になったのは1963年で発売5年目であり、単身寮のわたしたちには必須品! であった。正真正銘の低賃金時代である。

 なにしろ寮の飯も工場の昼飯もおいしくない。で、最初に購入した電気製品は電気ポットであった。そのうち、お湯をかけたのよりも、鍋で煮たほうがうまいと気づき、電熱と小さい鍋を買ったなあ。

 職場で出図前の追い込みとなると、チーム全員の夜食に、サッポロ一番とか明星チャルメラとか、何種類かの即席メンを混ぜて数人分作った。職場の2升くらい入るヤカンで作り、各人が湯呑にとっておいしくいただきました。

 後始末せず放置したものだから、ヤカンにメンなどがこびりついて、翌朝、お茶当番の女性にコテンパンに怒られてしまった。

 仕事の山は猛烈忙しかったが、昨今みたいに恒常的残業なんて言葉はありませんでしたねえ。1964年前後の話だ。