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そうだったのか! 衆院選

司 高志

 衆院選について新たな情報が出てきた。12月12日にプレジデントオンラインで、M進党前代表のインタビュー記事を見つけた。この記事を読み解くと、不可解だった疑問の答えを得ることができる。

 一般紙、週刊誌、テレビ等のメディアの関連情報がないので、インタビュー記事のURLを記しておく。参照したURLは、http://president.jp/articles/-/23940 である。(このURLでいつまでアップされているかわらないことはお断りしておきたい。)

 さて、今回の衆院選で一番の疑問だったのは、前代表が両院議員総会で、「みんなで都知事の党への合流ができる」と言ったのは、意図的にだましていたのか、それとも事情があって全員で移ることができなくなったのか、このあたりの真相がどうであったのかということだ。

 インタビュー記事はインタビュアーが忖度したのか、筆者にとって詳しく知りたい情報は突っ込んで聞かれていない。これは致し方のないことで、普通に考えれば、インタビューに応じてくれたのだから、傷口に塩をすり込むようなまねはしないというのが常識だ。

 それはさておき、よく読み込んでいくと、時系列で事実がはっきりしてくる。

 両院議員総会の前に前代表と都知事が会合したときに、合流には合意したが、M進党と都知事の党の立候補者比率をきちんと決めないで、前代表は両院議員総会で全員が移れると言ってしまったことになる。

 立候補者比率を正確にいうと、小選挙区289の議席数に対して、M進党と都知事の党の立候補割合が、1対1というのが都知事側の主張であり、M進党前代表の主張が、2対1というものだった。

 この調整が本来ならば両院議員総会の前になされていなければならなかったのだが、未調整のまま話が進められた。であっても、この時点では全員移れるというのが、全くの嘘というところまでいってはいない。なぜなら、2対1だろうが1対1だろうが、現役議員の88名は、数の上では全員が移れる。

 ところが、ここで都知事側が変調する。おそらく両議員総会前の会合で、前代表と都知事は全員移れるという話は、確約していなかったのではないか。そして都知事の排除発言があり、排除リストや踏み絵のリークが行われる。都知事側の意図は読みやすい。合流話を有利に進めるための布石であったのだろう。

 こうなると、前代表が両院議員総会で全員が移れると言ってしまったことが嘘になってしまうので、何とかしようとするはずだ。ところが、前代表は静観してしまった。つまり、都知事にリベラル系を切ってもらった。こういうのを世間では確信犯といい、この行為を「騙す」というのだが、本人には騙したという自覚もなければ、確信犯という自覚もない。そもそもその自覚があればインタビューには応じないはずだ。しかし、本人の中ではただ一点、「合流は正しい」という評価しかなく、他のことは頭の中にない。嘘をつく気が満々の者はどこかでボロが出やすいが、本人が全く嘘をついている気がないので、周囲は疑うことなく信じこまされてしまう。

 このような行動がとれるのは、病や症候群に至らないまでも、何かしら普通の人とは違う原因があるのだろう。

 前代表は都知事の党に入れるのかわからないが、この人を要職に就けてしまうととんでもないことが起きてしまう。この人には申し訳ないが、仮に入れても雑巾がけか一兵卒にしておくしかない。

 最後にNHK放送文化研究所による政党支持率は、都知事の党1.4%、M進党1.8%、リベラル系新党7.9%となっている。この事実を見れば、前代表の決断は正しくなかったのである。