筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
政治倫理審査会は、疑いをかけられた議員が弁明するための機会である。
にもかかわらず、出席者数を制限したり、せっかくの機会を非公開にしたいというのは論理矛盾である。
矛盾がない解釈をすると、政倫審を開催する以前に、「黒でございます」と認めているからである。
議員諸氏は、みなさま誇り高く、自身の名誉については並みの人々が余計な口を挟む隙間がないはずである。
ところが、「税金を払えるかっ!」と怒り心頭の有権者が続出しているにも関わらず、もはやこれまでと、辞任するわけでもない。
まことに見苦しい極みであること、自分自身がいちばんわかっているはずだ。
辞任すると、輝かしい? 経歴が汚れる。だから、ここいちばん、世間がなんと言おうと、タコツボに身を潜めているのだろう。
国民から見れば、岸田氏の言語不明快・意味不明の発言は、弁明から逃げようとしている連中を守ろうとしているみたいだが、おそらく本音は違う。
弁明から逃げたい連中は、あわよくば、このまま政局が進んで解散騒動になってほしい。当然、自民党の惨敗が予想されるが、そんなことより、自分が土下座してでも生き残ればしめたもの。
なにしろ、自民党は本籍自分党であるから、党に迷惑がかかるなんてことは爪の垢ほども考慮しない。すでに、議員個人のサバイバルゲーム段階に入っている。
岸田氏は、かかる事態において、いかに政権を維持するか。この嵐を越えれば、長期政権を手にできる。という根性で、こちらもまた生き残り策が、頭の中を走り回っている。
1億2千万分の1の国民としては、この際、とことん政界浄化を進めるつもりで、「予算審議をどうするんだ?」などと、野暮は言わず、追い詰められたネズミがいかにして猫を嚙もうとするか。見届けたい。
そもそも、予算といっても安直にして放漫、傾いている船体を立て直すに足るものではない。
野党の攻め方が下手くそだなどと、自民党に塩を送ってはダメだ。
国民の「冷ややかな視線」があれば、不届きな夜盗、いや与党の落とし前をつけることができる。