筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)
10月30日福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)における代執行訴訟第一回口頭弁論での玉城県知事の陳述は論旨明快、きちんと筋が通った立派な内容であった。要旨は次の通りだ。
a 普天間飛行場の危険性を除去するために辺野古基地建設が唯一とする必要性・合理性が認められない。
b 辺野古の供用開始まで(早くて)12年である。
c 固定基地はミサイル攻撃の可能性か高い。
d 国は、日米地位協定を含む、米軍基地の抜本的な被害軽減のための外交交渉をおこなわなかった。
e 何が県民にとっての公益かの判断は民意にある。
f 「基地のない平和の島」が復帰の願いであった。
国が地方自治体事務を代執行した事例はない。国は沖縄県が著しく公益を害するという立場である。
しかし、2013年に仲井真知事がドサクサ紛れの承認をしたあと、翁長知事が承認取り消し、県民投票で70%が反対の意思を表明している事実からして、著しく公益を害するという場合の公益に沖縄県民の民意は含まれていない。
公益についての合意はない。
このような政府の押し付けが許されるとするなら、地方自治体は政府の出先であって、住民の選挙で選ばれた首長は体裁をつけた傀儡に過ぎなくなる。
これは民主政治とは言えない。すなわち国家主義である。沖縄のために代執行をすべきではないというが、正しくは日本の民主主義の土台骨の1つが倒されるという事実をみんなが認識せねばならない。