月刊ライフビジョン | off Duty

2023年8月、コロナの話題は日常テーマに

曽野緋暮子

 コロナがインフルエンザと同等の扱いになった時から、コロナ患者は増えているらしいと囁かれていたが8月後半以降、私の周辺でも「コロナ陽性」という話を頻繁に聞くようになった。以前のように自己管理がなっていないとか、家族が気を配っていないからだとか言われることがなくなったせいか、「コロナが陽性だったので5日間は自粛する。」「家族が陽性になったので部屋に隔離した。」と皆さん大っぴらに、フツーの世間話として話すようになった。「濃厚接触者の制限がなくなったし、治療薬もなくて解熱剤が処方されるだけなので発熱したらロキソニンを飲んでじっとしていたら良いんじゃない。」と言う人も多い。コロナ陽性で以前の様な自粛、隔離がなくなればコロナ患者が増えるのは当たり前と言えば当たり前なのだろう。インフルエンザと同等の扱いとはいえ、確たる治療薬がないことと後遺症があることは怖い! から、暑さに耐えながらもマスクが止められない。

 いつまでも酷暑が続くが、朝夕が冷え込んできた。コロナに加えてインフルエンザが流行する懸念がある。以前のような制限が急に出てくる可能性もありなので秋のランチ会を早めることにした。

 いつものお店にマスク姿で集まったが、個室に入るとすぐにマスクを外した。口火を切ったのはF子。「免許証更新に伴う高齢者講習の案内ハガキが来たからすぐに近くの教習所に電話したけれど、空きが10月下旬の日程しかないとピンポイントで指定されたの。講習を受けていないと免許証更新ができないので、スケジュール帳を見ることもなくすぐに予約したのよ。」すると、C子は「私は近くの教習所が満杯だったので3か所目でやっと予約できたよ。田舎に住んでいたら絶対免許証は必要なのに、なんで講習会を受けることに苦労しなきゃいけないのかな?」M子「そうそう、都会の人は早めに免許を返納して公共交通機関を使えば良いと言うけれど、唯一の公共交通機関であるバスは1日に4便。しかも土日祝日は運休だからね。おまけに、タクシーも営業開始が午前6時からだから予約も午前6時からしか受け付けないって言われた。」

 田舎暮しで大きな問題となっている交通公共機関の激減。私が住んでいる自治体ではその対策として、免許証を持たない75才以上の高齢者にはタクシー料金助成券を出している。(もちろん、本人の申請があれば。)1000円の支払いで1枚500円が使える。800円だと300円は自払いだ。2000円超えると2枚使えるが、差額は自払いなのでなかなか使い辛いようだ。またデマンドタクシー、いわゆる乗合タクシーもあるが、バス停で乗降する、時刻表があり、尚且つ前日の夜に乗車予約しなければいけない等使い勝手が悪く、あまり活用されていないようだ。

 今は日常の買い物は通販や、近隣のスーパーの宅配で事足りるが、自身の通院も含めて家族を病院に連れて行くためにも、何歳になろうが、現状では生活のために免許証は必要だ。もちろん、公共交通機関の利用ができるなら覚束ない運転をしたくない気持ちは満々だが。

 9月は敬老の日があり、その時期にはスーパー高齢者の華々しい活躍がニュースで取り上げられる一方、コロナ禍で頓挫した敬老行事は余り聞かなくなった。敬老会に声がかかるのは77才以上と年々年齢が上がっている。「敬老」の雰囲気は無くなりつつあるのに、高齢者の生活は縛りがキツクなっているように感じる。

 高齢者問題に終始したランチ会だったが、J子が「数ヶ月に一度、こんな風に美味しい物を食べながら他愛無いお喋りができるように元気な年寄でいようね。」と締めてお開きとなった。帰宅すると7回目のコロナワクチン接種券が届いていた。