論 考

企業内組合では力が出ない

 企業別労働組合か、企業内労働組合か。これは、組合役員としてはきわめて初歩的であるが、きちんと理解しておかねばならないテーマである。

 現実の労働組合は、企業内労働組合としての見識の範囲で活動しているようにみえる。

 たとえば、労働条件・雇用問題は企業内の問題として登場するが、実は国の経済政策と密接につながっている。

 正規非正規の区別は、企業の都合による差別である。非正規が、正規の労働条件・雇用のバッファーにしているのは企業である。

 働く人を全体で眺めれば、非正規差別によって、正規がいい目を見ているのではなく、全体として働く人の価値を貶めている。

 つまり労働組合の腰が定まらないから、いつまでも非正規が減らず、さらには自営という名のさらに悪質な労働条件で働かねばならない人が増える。

 国民民主が自公と連立するかどうか、いろいろ取り沙汰されているが、国民民主党を支持する組合が、企業内組合ではなく、すべての働く人の立場で活動することになれば、国民民主の立ち位置がしっかりする。もちろん、それ以外も。

 組合は野党連携の調整役に地位を落とすべきではない。労働組合が企業別組合としての認識を明確に確立すれば、野党の離合集散ゲームは必然的に終わる。組合リーダーのみなさんのしっかりした見識を期待する。