論 考

思考にブレーキがないのか

 普天間移設を沖縄県民のメリットとして、辺野古基地建設をゴリ押ししてきた。当初総工費は3500億円だが、2022年度末、すでに4312億円を使った。

 総工費は9300億円へと大幅に積み上げたが、それでもできるかどうかわからない。2~3兆円になるのではないかとみられる。

 なにしろ現在の埋め立ては14%程度、軟弱地盤が判明して、90mの海底へ杭を7万本打ち込むという。ただし、これも技術的にはおおいに難しい。

 当初工期は5年だったが、まだ見通しは立たない。

 9月4日最高裁第一小法廷は、軟弱地盤につき防衛省が申請した設計変更を承認するよう国が県に是正指導したのは違法として、沖縄県が訴訟していた件で、上告棄却の判決を出した。

 要するに、(下の)行政は(上の)行政に拘束されるという論建てである。

 しかし、辺野古基地の場合、民意を無視して行政が強引に工事を進めているのであって、民意に基づいた沖縄県が国に異議申し立てしたことをまったく顧慮していない。

 これは、どうみても司法の仕事の放棄である。いや、そうではないというのであれば、司法は行政優位の枠内で判断するわけで、わが国の三権分立は絵空事にすぎない。

 行政が民意を無視して政治をおこなう国家は官僚国家であり、専制政治である。こんなことがわからない裁判官はいないだろう。わかっていて、このような堕落した判決をするのは民主主義の放棄である。

 アメリカにおいて、辺野古基地が役に立つのかどうか疑問の声もある。国税を乱費するという謗りも免れない。

 令和の大馬鹿工事という名前がつくのはまちがいない。