論 考

自己満足ではダメだ

 現実にデブリ汚染水の処置に苦労しているのはわかる。

 岸田氏がなんとか始末をしたいと考えたのもわかる。自分は現実の問題を次々に決断するのだという気負いも感じられる。

 決定するのは1人でできるが、それによって予期せざる事態も発生する。少なくとも、関係者間の合意を高める努力をしなければならない。

 岸田氏は決断することの重みがわかっているだろうか。なにがなんでも、決断する。理屈はあとから貨車に積むという、昔からの悪しき傾向が強い。

 決断するだけなら、鉛筆転がしてでもできる。最高政治家としての責任は、人々の合意形成に徹底して取り組むことだが、岸田氏はその認識がきわめて希薄である。

 自分はおおいに決断して仕事をしたという自己満足政治家ではダメだ。とんでもない不測の事態が発生しなければ幸運だが——