論 考

柱のないテント

 自民党の得意技、国政を担い続けてきた力の本質は、「包摂」である。ただし、本当の包摂ではない。

 清濁併せ呑むとか、包容力が大きいというが、実はつねに多数派形成をめざし、つねに少数派にちょっかいを出す。相手がついてくるなと思えば、甘い言葉もサービスもする。

 論理という、ともすれば角が立つものは優先順位が低い。なんとなくとか、空気を読むことにかけては、いずれの政党よりも優れている。

 これはポピュリズムである。結党以来68年のポピュリズム政党だから、それなりに持ち味を形成しているわけだ。

 これは、いわゆるムラ意識である。ムラ意識の理論的中核はなんぞやなどと議論しない。そんなことをすれば分解しかねない。いやいや、なによりも実際は柱が存在しない。柱のないテントみたいである。

 岸田氏は、意識しているのか、無意識かはわからないが、柱のないテントであるから、なんでもありでリーダーシップを使っている。

 本日、読売社説は「(自民党は)政治の安定へ足元見つめ直せ」と注文つけた。官邸と与党の連携不足、党執行部の調整力に綻びなどと指摘した。

 本気で見直せば(見直す力はないが)、テントに柱を立てることになる。それこそ岸田内閣の瓦解である。読売はわかっているのかな。