論 考

魅力ある会社作り

 日本企業がおカネを溜めこむばかりで、まるでリスクを取らないから、外国人投資家には魅力がないという論調が主流だ。

 社員の立場からすると、外国人投資家が鵜の目鷹の目で狙いをつけるような企業だと、自分たちの雇用が心配になるから、日々安心だという見方もできるが、それにしても日本企業に魅力を感じてくれないというのでは、自慢にはならない。

 そこで、社員自身がわが社に魅力を感じているのかどうかという視点を起こしたい。筆者がチンピラ社員をやっていた当時、いまから60年前は、おおかたの企業は、わが社の愛社精神を育てるのに躍起だった。

 1966年に中国で文化大革命が始まるや、最初に反応したのは経営者だった。できることなら、わが社員も号令一下奮闘してもらいたいと思ったのだ。ポケットに毛沢東語録を忍ばせて喜んでいる? 経営者が少なくなかった。

 しかし、上意下達の愛社精神など厚化粧である。本当の愛社精神は、社員が仲間と同じ職場で働くことを喜ぶ、連帯感の拡大にこそある。

 いまは、どうだろうか? どうも元気がない感じだ。愛社精神はもちろん、連帯感の希薄さは外から見ていてもよくわかる。

 社員が魅力を感ずる会社というのは、単に労働条件だけではない。社員が魅力を感じる会社活動を作っていくという、単純な課題を思い出したい。