論 考

目論見が外れたプーチン氏

 プーチン氏が、どの程度の戦争期間を想定したのか不明だが、これまでのところ目算が狂ったのは疑いない。

 ウクライナの抵抗が弱いと見込んでいたはずだ。短い戦争で、ウクライナを屈伏させるならば、屈伏した国の人々がロシアを嫌悪する期間も短い。世界から、ロシアが非難される期間も短い。

 ところが、ウクライナの人々はがんばる。プーチン氏が、自身の大義に迷うことがないにしても、ウクライナの人々の抵抗が長引くほど、プーチン氏の大義が非難され続ける。

 国連緊急特別総会で、ロシア軍の即時・完全・無常連撤退を求めた非難決議は、141か国が怒りに燃えて賛成した。

 プーチン氏がじわじわと不安を感じるのは、先の常任理事会で、中国が棄権し、今度の総会でも棄権したことだ。1つは、プーチン氏の大義につき全面的賛成しなかった。2つには、中国は敗者の側には立ちたくない。計算高いプーチン氏だから、このように分析するだろう。

 ロシア経済はすでに強くはない。戦争が長引けば、抑圧下にあっても、ロシア国民の反戦・厭戦はさらに強くなる。

 プーチン氏は、ウクライナに思いが強いらしいが、予想を覆したウクライナの人々の強さに、尊敬と敬意を払い、一国も早く撤退へ切り替えるべきだ。それこそが、強い思いのウクライナに、遅ればせではあるが、自分の気持ちをいくばくかでも伝えられるだろう。