論 考

日本の主張はどこにあるか

 アメリカの世論調査では、イランとの戦争を予想する人が7割くらい、一方、トランプ氏のイラン政策について不支持が半数を超えているらしい。しかし、トランプ支持は相変わらず41%、不支持54%と変わらない。

 ここには矛盾がある。トランプ支持者はアメリカ・ファーストの支持者だ。一方、イランとの戦争予測はソレイマニ司令官殺害事件から、その流れで発生している見方であろう。トランプ支持・不支持にさしたる変化がないのは、トランプ的危険性についての認識に変化が見られないのである。

 つまり、トランプ氏のイラン政策不支持であるとしても、それを積極的に食い止めようという動きがまだない。

 さて、わが新聞は当然ながらトランプ氏のイラン政策をイケイケどんどんとは言わないが、では、どうするのかという主張がふにゃふにゃだ。

 事態がエスカレーションしないように日本政府は働きかけよと言うが、何をせよと言うのか判然としない。トランプ氏に無茶するなと言うのか、イランに報復するなと言うのか。ただ、双方に対して「まあまあ、なあなあ」的日本流で言葉を取り繕っても意味がない。

 イランとの核合意を勝手に抜けたのはアメリカである。いまの事態は、すべてそこから始まっている。アメリカに対して「核合意に戻れ」と日本の主張を鮮明にできなければ、一切の調停はできない。

 トランプ氏の顔色をうかがっているだけでは、日本的外交など無きに等しい。