論 考

これでいいのか

 国連機関が、世界に生存する800万種の動物のうち、100万種が数十年内に絶滅するという報告書を公表した。

 大きな原因は、1980年から2000年の20年間に熱帯林面積が1億ヘクタール減少した。南米、東南アジアで著しい。

 自然が維持されることは、経済が伸びないことと等しい。経済が急速に伸びている地域で自然がどんどん破壊される。

 しかし、これは自然の豊かな国の人々だけに責任を押し付けられない。豊かさモデルを推進してきたのは産業革命以後の先進国である。

 ストレンジ(1923~1998)が、先進国経済を「カジノ資本主義」と批判したのは1986年だった。ヒックス(1904~1989)が、「『資本論』以来100年過ぎても、他にほとんど見るべきものがない」と警鐘を鳴らしたのは1969年であった。経済学者は、大方、行政あるいは企業システムに組み込まれて、雄渾な経済論を展開する人はいない。

 いや、経済学者だけではない。誰もが既存のシステムのなかで、その一部と化して、誰も人類の未来など考えもしない。

 政治・経済の権力が志向しているのは、単に、儲けることだけだ。