論 考

政倫審は成果あり

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 参議院での政治倫理審査会が開催された。

 本日の社説は、朝日「裏金の説明 政倫審の限界は明らか」、読売「参院政倫審 会計責任者に聞いてはどうか」、毎日「参院でも『裏金』政倫審 疑問はますます深まった」として、いずれも政倫審の内容に納得できない論調である。

 最大の難点は、裏金つくりを誰が主導してきたかであるが、予想に違わず、いしかしら、自分はまったく関与していないと、迷惑顔(?)なのである。

 新聞各紙は、どうやら、議員各氏が「恐れ入りました、悪うございました」とお白洲で平身低頭するのを期待していたらしく、裏金の事実が解明されないのでしびれを切らしたという雰囲気である。

 ただし、政倫審は取調室でもなく、お白洲でもない。検察官と被疑者の関係でもないのだから、これらはまったく予想されたことであって、そこに目くじら立てて悲憤慷慨しても意味はない。

 わたしは当初から、まさに「政治倫理」に焦点を当てて考えているから、期待外れの感じはいっさいなく、むしろ、登場された議員諸氏の政治倫理感なるものが、よくわかった。

 頭のいい誰が考え出した仕掛けかどうかはわからなくても、それをかたじけなく利用していたのは全員であって、しかも、よくないことだとわかっていた。これである。

 つまり、選良たる諸氏は、よくないと知りつつもおカネの魅力に抗えずに、自分を選んでくれた人々を裏切った。有権者を裏切る「裏金」である。

 しかも、諸氏は意図的に「知らぬ存ぜぬ、無関係」を主張した。ことここにいたれば、もはや政治倫理は地に堕ちた。嘘をつく、隠す、取り繕う、これらの行為は反倫理的である。恥の上塗り、反倫理の加速である。