論 考

解体してもおかしくない

筆者 奥井禮喜(おくい れいき)

 安部派の99人が5年間に裏金5億円、政治資金の記載なし。事態収拾のために岸田氏は、政府から安倍派の15人を交代させる意向らしい。

 頼みの綱としてきた安倍派を切るのだが、二階派も、岸田派でも疑惑が持ち上がっているから、「安倍派というだけで悪者か」という不満もそれになりに理屈が通ることになる。

 なにしろ安倍派は党内1/4の勢力である。党内紛争を抱え込めば自民党は動きが取れなくなる。安倍派には、ろくな政策も打ち出せず、迷走する岸田政権をなんとか支えているという自負もあるから、安倍派切りが大きく跳ね返ってくる可能性も大きい。

 そればかりではない。事態は、安倍派だけではなく、自民党全体の問題となっている。

 岸田退陣論も出ている。NHKの意識調査では、内閣支持率23%、不支持率58%、自民党支持率も大きく低下して30%を切った。コップの中のもみ消しでは済まない段階にある。

 数の力で揺れるのは当たり前だ。数の力で好き放題やってきた。そのツケが回ってきたわけだ。

 赤信号、みんなで渡れば怖くないとばかり法律無視をしたのだから同情の余地はない。しかも、それをとどめようとする動きがなかった。自民党はいかにも自堕落だ。政治をおこなう政党ではなく、利権に向かって走る徒党である。

 それにしても、ちまちまと、みんなが甘い汁を吸うという体質は、民主主義の政治ではないし、まるで後進国の姿そのままである。