論 考

岸田内閣の瓦解近い

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき) 

 差し控える発言の、まことに謙虚な? 官房長官松野氏が、2019年から3年間の安倍派事務総長時代を含め、直近5年間の派閥パーティ券キックバックが1千万円を超えており、政治資金に記載していなかった。

 岸田氏は、官房長官の更迭を考えていないというが、どうしたらよいか、わからないのが本音だ。更迭すれば、岸田内閣退陣論に火をつける。

 しかし、更迭しなくても内閣退陣論には点火する。

 なにしろ自民党内部の岸田評価はきわめてジリ貧に近づいている。火消しに走る好事家がいるかどうか、いないだろう。

 船が沈没を察知すると鼠は一斉に逃げる。その教えにならってかどうかは知らぬが、自民党の強さの秘訣の1つは、いざという場合に義理と人情をスカッと忘れて行動することだ。しかも、岸田氏は義理と人情には疎い。

 議員連の頭にあるのは、代わりに誰を担ぐかだけである。本命がいない。つまり穴馬もいない。

 いま、彼らが悩んでいるのは、担ぐのがいないからといって、これ以上、踏みとどまるべきかどうか。極端にいえば、急場しのぎという妙手もある。むしろ、誰もがアッと驚くほうが、不始末を隠すのに好都合だ。