論 考

野党第一党

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 良くも悪くも、与党の動向はつねに報道の中心にある。もっともさっこん良いことなどとんと報道されないが――

 それにつけても野党の存在感が薄い。業を煮やした毎日新聞(本日)は、「立憲の泉体制2年 最大野党の自覚あるのか」と社説に書いた。

 その通り、世間からすると立憲の動きが見えない。与党の失策に応じて少しは出番が拡大するかと思っても、そうでもない。

 大昔、土井たか子氏が社会党委員長に就任した。しかし、試運転期間が終わってもまるで新しい動きが見えない。ところがご本人に言わせると、まったく忙しく全国を飛び回っていて、席が温まる暇もないと嘆く。

 たしかに当時はたいした人気でもあり、あちこちから及びがかかる。党事務局の日程をこなすだけで精一杯なのである。支持者が期待した党改革に着手しない(できない)のだから、新しい行動が起こせるわけがなかった。

 たぶん、泉氏もご本人は大車輪なのだろうが、このままでは毎日新聞社説の批判(懸念)の通りである。

 外部の人間としては、党内事情がどんなものかわからないが、泉体制になって2年過ぎたにしては立憲の主体的な行動が見当たらない。

 議員個人にすれば次の選挙対策が最大関心だろうが、そればかりでは政党としての成長が期待できない。2年間、なにをやって、なにができなかったのか。党全体の問題として取り組むべき課題を打ち出さねばならない。

  たとえば、もっと積極的に知識人との連携をつくらねばならない。知識人への働きかけが弱いと、知識人そのものの性格が社会的官僚と化す。

 なぜなら、知識人が頼るべき柱がないから自己防衛しようとする。すると知識人の自由な発想が曇って、体制内体制派に沈没してしまう。いまの日本は、その傾向がきわめて強い。

 野党は知識人を大きく組織化する気概が必要だ。