論 考

政治の自学自習

 政治教育をどうするかという設問がある。わが国では、学問としての政治学があるが、失礼ながらどうもしかるべき役割を果たしていない。

 最大の原因は、政治家に密着取材することが政治だと勘違いしている。政治ではなく、人間ドラマである。もちろん本当の政治学よりは面白いだろう。歴史好きが実は歴史的人物のドラマに惹かれるのと同じだ。

 政治教育の根本は、各人が自分という人間を知ることであり、自分を大事にするのと同じように他者を大事にするという基本をみんなで勉強したい。

 自分の意見をはっきり述べる。他者の意見を傾聴する。違いがあれば意見交換して共通点を探す。完全に一致しなくても、少なくとも自他の意見のなにが違うのかを相互に確認しあう。

 わたしがもっとも心配しているのは、わが社会の人々は、彼我の違いがあることを嫌う。もし違いがなければ金太郎アメである。これをファシズムというのだ。

 金太郎アメをせっせとつくるのが軍隊である。兵の足並みは揃うものだ。そこでは頭の質の違いは無視される。

 軍事パレードで兵士が行進しつつ思索に耽っているわけがない。思索(する人)が多い社会ほど人々の意見は磨かれてレベルが向上する。そのような社会になれば政治意識は必然的に向上する。

 政党の政策を諸品カタログばりに品定めするなど愚の骨頂だ。まず自分が自分の意見を明晰・判明に話せるかどうか。ここから始めたい。