論 考

暴走するP&K

 シモーヌ・ヴェイユ(1909~1943)は若くて亡くなったが、鋭い、有意義な考察を残した。その1つ。

 ――権力を有するとは、個人ができることを超える手段にありつくのである。しかし、対象を掌握しえない無力さゆえに、目的についてのあらゆる考察を斥ける――

 見事である。権力にありついて自分の能力以上の手段を有しても、取り組む課題(対象)を十分に掌握する能力をもたないから、権力活用の目的についての考察が不可能で、結局権力自体が目的化する。ほとんどがこのタイプである。

 大物ぶったプーチンはウクライナを見誤り、戦争に絡めとられて動きが取れない。英雄は演技力から生まれない。

 彼のような演技力はないが岸田流は、言ったことに向かって異議・反論・批判などは一切顧慮せず、「これでいいのか」という自問自答を封印して突き進む。

 いずれも権力の大きさと、使いこなせる玉がいないことを示している。

 超高性能のバイクを乗りこなせなければ暴走する。政治家がいかに言い訳術に巧みだろうと、インチキはバレる。なぜなら政治が暴走するからだ。