論 考

プリゴジン発言が示唆すること

 戦争という一大事でも挙国一致とならないものが権力争いである。

 ロシアの戦争「人材派遣」会社ワグネルの総帥プリゴジン氏が、弾薬がなくて戦闘できるかと怒り心頭、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長をボロクソに罵倒した。

 いかにもロシアの話なんだが、わが15年戦争の実際と重なる。

 航空機材不足で、陸軍と海軍が猛烈な争奪戦を繰り広げ、相手の資材置き場から盗むのは当たり前だった。

 ガダルカナルなどの戦闘では、弾薬どころか食料もなく餓死する人が多かった。部隊が全滅寸前に逃げ出した指令官が、戦闘の功労! で昇進する。なんともいやはやまったくなんである。

 ウクライナ軍の悲惨な話は報道されないが、最前線は似たようなものだろう。

 先日の習・ゼレンスキー電話会談が、わがマスコミでは丁寧に扱われないが、ゼレンスキー氏は、中国に望みを託している。なにしろ、アメリカは当事国であって、両国を仲介できない。ならば、中国の出番は近づいている。

 ドローンでクレムリンを狙ったかどうかは不明だが、ウクライナがロシア領土内で戦闘しないようにアメリカが統制しているのは事実だから、もし、ウクライナがやったとすればアメリカの指示によるものだというロシアの話の組み立て方は間違っていない。

 ウクライナ戦争は、泥沼という形容が現実を表現するかどうか疑問だ。停戦への局面転換の可能性を秘めた行き詰まり状態だと、あとで指摘できるようになってほしい。