論 考

お粗末、暴走する岸田采配

 岸田氏は自民党総裁選出馬の際、2020年からのコロナ関係取り組みを検証・総括して、コロナ取り組みの司令塔を作ると公約した。

 しかし司令塔らしきものが、人々に取り組みの仔細や、理解を深めるような動きはまったく見られない。

 ところで、司令塔といえば、行政の司令塔は首相の岸田氏だが、これがまるでそれらしくない。かつて竹下登氏は首相になって、首相自身が強力なリーダーシップを揮うのでなく、司、司に委ねると発言した。

 つまり、大所高所を押さえて、あとは各関係部門が最大限力を発揮するようにするという意味と、氏は戦争世代であって、政治権力を振り回すべからずと自戒したのである。

 岸田氏は、大所高所論がない。司、司に委ねるといえば官僚的体裁はつくが、とにかく、これを推進するというだけで、丸投げである。

 防衛問題にせよ、全世代型社会保障にせよ、その前に、「なぜ」「なにを」「なんのために」おこなうのかという、大方針を公開しなければ、国民にとっては唐突感しかない。有識者、与党議員、官僚は実質実働部隊だから、ひたすら課題の取り組みを進捗するのみである。

 かくして、客観的には、政治機構全体が暴走しているとしか見えない。

 たとえば敵基地攻撃能力は、戦争ゲームに対する明確な参加意思表示である。なぜ、それが安全保障=国民生活の安定につながるのかくらいは、自分の口で明快に語らねばならない。

 のちのちに、岸田内閣が日本を戦争体制に放り込んだ画期を作ったという歴史的評価が成立するかもしれない。

 岸田さん、ことの重大性を分かっておられますか?