論 考

ナンセンスな日本の立ち位置

 あっけらかんとした感があるアメリカの気風は美徳であるが、他国が、自分と同じ考え・行動をするべしという気風は傍迷惑だ。善意であっても、押し付けは悪意になる。

 民主主義の大国であることはまちがいないが、米国流は自由に偏重している。野放図な自由は、個人間だけではなく、資本主義体制が生み出す最大の弊害だ。

 いまの国際環境の不安定を見ると、国際秩序を形成してきたアメリカの力量低下だけではなく、米国第一主義が必然的にもたらした結果である。なかなか、米国リーダー諸氏がそれに気づくのは難しいだろうが、1つひとつ、相互交流を重ねていけば安定感を取り戻せる。

 たまたま、米国女子プロバスケット選手とロシア武器商人との交換が成立した。イエレン財務長官が訪中に前向きだとの報道と重なった。

 小さなことだが、このような積み重ねが拡大してほしい。

 日本政界は、防衛費のGDP2%論で沸き返っているが、国内経済・国民の負担が大きい割には、世界の安定を取り戻す意義はない。ますます厄介にするだけである。いわば、木によりて魚を求めるようなものだ。

 政治家に哲学的思考を求めるのはナンセンスだろう。しかし、ナンセンスな連中が、国の舵取りをしている。異様な事態だということに気づかないのは、まことに危ないという事実を知っておきたいものだ。