本日、読売新聞社説は「連合5%要求 大幅賃上げの転換点とせよ」と、全面的に連合5%要求を支持した論調を掲げた。全国紙が支持してくれるのは、反対されるよりは上等だ。
筆者は、連合春闘の成否は組合員がその気になるかどうかにあると見る。
アメリカ中間選挙の終盤戦で、バイデン氏は、トランプ氏のMAGA(米国を再び偉大に)の発想は、まず富裕層と大企業の利益優先で、そのトリクルダウン(おこぼれ)が労働者に回るだけだと批判した。立派なものだ。
日本では、安倍内閣時代が典型的なトリクルダウンの発想だが、自民党は戦後一貫してその考えであり、岸田氏も同じである。経済界は言うまでもない。
1980年代のバブル当時、組合は手抜き春闘をやった。騒動しなくても、賃金が上がったからだ。その間、組合員は、賃金は「儲かれば上がる」と信じた。1990年代バブルが崩壊して大騒動したが、今度は必然的に「儲からなければ仕方がない」と考えた。そこから、こんにちまでの長いトンネルが続いた。
いまの組合員の圧倒的多数派が、トリクルダウン信者である。
賃金は、儲かったら上がって、儲からなかったら下がって当然というごとき落とし穴にはまったら、賃上げは絶対出来ない。
労働者にとって賃金は生活費であって、企業の賃金はコスト論とは対立する。労働者が安心して働ける賃金を確立してこそ、企業は利益を生む。
春闘の交渉まで時間がある。連合参加組合が、組合員のトリクルダウン信仰を打ち砕く大衆運動を構築できるかどうか。それが勝負だ。