論 考

バリ島G20首脳宣言の意義

 インドネシアのバリ島におけるG20サミットの首脳宣言が採択されて閉幕した。わが新聞は、要約を報じたが、半端なので一言述べたい。

 外務省の仮訳で読む。ウクライナ戦争については、「ほとんどのG20メンバーは、ウクライナにおける戦争を強く非難し」、「平和と安定を守る国際法と多国間システムを堅持することが不可欠」、「核兵器の使用またはその威嚇は許されない。——今日の時代は戦争の時代であってはならない」と書かれている。

 これが直接的にウクライナ戦争の終結をもたらすものではないが、先に、中国の習氏・インドのモディ氏がプーチンと会談した際の両者の見解とほぼ同じレベルでの文言がまとめられた。 

 中国もインドもG20では目立って報道されていないが、やはり、両国のロシアに対する態度が、重しとして効果を発揮していると見られる。

 ロシアのウクライナ侵攻以来、アメリカやNATOは、中ロを一蓮托生扱いしてきたが、それがウクライナ戦争解決に対する正しい態度ではなかったことが、傍証された。

 実際、ロシアの反対で宣言がまとめられるかどうか危ぶまれていた。形はどうであれ、ウクライナに武器供与しているアメリカとNATOはウクライナ戦争の当事国である。中国とロシアがロシアを抑える力を見せたとも言えよう。

 バイデン氏も中間選挙を乗り切ったことでもあるし、もう、そろそろ停戦への段取りに本腰を入れるべきだ。そうでなければ、きれいごとを並べるが、アメリカは所詮自国の都合で国際平和を語っているだけだという批判を避けられない。

 インドネシアのジョコ氏が、首脳宣言をまとめ上げた努力を評価すると同時に、世界的合意がどのあたりにあるかを示したセンスに共感する。