論 考

停戦工作が急務だ

 習近平・マクロン・ショルツ3氏が、8日、オンライン会談をおこなった。

 習氏は、① ロシアとウクライナの和平協議を主張し、② 対ロ経済制裁の拡大は世界経済を大混乱にするから反対である。

 いずれも当たり前の見解だが、②は、ロシア軍の侵攻が止まらないかぎり、譲れない。①を、いかなる方法で実現するか。これが、目下混沌としている。

 プーチン氏は、キエフを短期間に攻略可能と踏んでいたが、大誤算である。

 NATOが、米欧州軍(EUCOM)中心に、対戦車ミサイル1.7万基や、スティンガー2千基など武器をウクライナへ運んだ。実質的にはウクライナ・米欧とロシア軍が戦争している。

 アメリカは、プーチン氏が、ウクライナ制圧・支配を決意したと見ているらしい。土地を征服されても、ウクライナの人々がロシアを受け入れるわけがない。

 ロシアが、停戦条件として、ウクライナがとうてい飲めない問題を主張するのは、長期戦を決意しているからだろう。

 米欧・中国が揃って提案するならば、ロシアを停戦に引っ張り出せるのではないか。中ロと一括りにするべきでない。

 プーチン氏と「懇意」の、安倍氏を特使として派遣する説は、いかなる成算に基づくのだろうか。喧嘩でも、止め男は、それぞれの当事者を包含する大きさが必要だ。本音は、安倍・プーチン外交を皮肉っているみたいである。

 日中韓が胸襟開いた関係であれば、3国が共同してロシアを説得する手もあるが、そんな力はまったくない。ロシアのウクライナ侵攻は、日中韓関係のお粗末についても改めて照らし出した。