論 考

苦い笑い-英国版

 たまには面白い話題がないか。探していたら、フィナンシャルタイムズにあった。ただし、苦い笑いだ。

 英国では、21年夏以降の電気ガス卸売価格が断然高騰して、販売単価が同10月に12%引き上げられた。さらに22年4月には、50%以上、年間11万円引き上げで、31万円に達すると予想されている。

 数百万世帯が燃料貧困に追い込まれる大変な事態である。

 電力会社のOVOが、顧客にたいしてメールで暖房費節約の提案をおこなった。その内容が苦く笑える。

 たとえば、ペットや愛する人と体を寄せ合う。ショウガを食べる。唐辛子は発汗作用があるから避ける。子どもとフラフープで遊んだり、家の掃除をしたり、飛びあがって手足を大きく広げるなど、体を動かす。オートミールのお粥を食べる。お酒は一時的で熱が奪われるから、ノンアルコールにしよう。体温低下を避けるため多くの水分を補給するetc.

 合理的・堅実的で知られるイギリス人ではあるが、バカにするな! とかんかん、非難ごうごうで、OVOは、「ブログ内容が不適切で、役に立たないものだと痛感し、深く恥じ入り、心からお詫び申し上げます」との声明を出したそうだ。

 耐乏生活を呼びかけたわけだが、わが国でもかつて、大々的に耐乏生活キャンペーンが展開された。例の戦時中だ。

 それはともかく、問題の本質的解決ではなく、とんちんかんな脇道へずんずん入っていくという事例として、おおいに参考になった。