論 考

大国外交のスジ論を立て直さねば

 バイデン・プーチン電話テレビ会談2時間。

 バイデン氏は、ウクライナ国境に増強集結するロシア軍に深刻な懸念を表明し、ウクライナ侵攻をすれば、強力な経済措置・同盟国に対する軍事支援増強で対抗すると語った。プーチン氏は、NATOの軍事増強を非難して応酬した。

 軍事を武器とした恫喝外交は、恫喝に屈すれば、国内世論の反発をくらう。恫喝合戦の行方に、言葉による外交という手順が成立しなければ、軍事衝突への危機を進めるだけで、客観的には失敗外交である。

 一方、米国は北京冬季オリンピックを外交ボイコットする。中国は、オリンピックを政治に使うとして反論した。人権保護は米国のDNAだと主張する。中国にすれば、米国が人権の大義名分を掲げれば、まず、自国の人権事情を解決してみろというのが本音である。

 中ロともに、米国の覇権に対してはっきりと反対の意志をもっているから、「メンツ」の問題は、絶対に譲歩しない。俗な言葉でいえば、米・中・ロの間の外交は、ヤクザの交渉と極めてよく似ている。

 しかも、ことは直接当事国だけの問題に止まらない。こんな外交しかできない連中が、世界の命運を左右するという事態を阻止するためには、理性的に考えて、国連外交を立て直すしかない。

 いまの大国外交は、どうみても論理的に破綻している。国際関係のスジ論を1つひとつ構築していこうという政治家が登場しなければ、終末時計の残された時間を失ってしまう。