論 考

聞きにくい声が聞かれるか!

 岸田氏の所信表明演説を読むと、所信というよりも「初心」だ。何がなんでも一念発起して貫徹するぞ、の所信ではなく、極めて日本的な就任のご挨拶である。

 報道は、岸田氏所信表明演説が、安倍・菅政治について一切反省(総括)がないと批判する。

 昔、芸を覚えたサルが反省のポーズを取るので、反省だけならサルでもできるという言葉が流行った。

 岸田氏は人間、しかも政治家であるから、ポーズだけの反省でその場を糊塗するなどプライドが許さない。

 前・前々人者がおこなったことについて、総括(反省)するところから総裁選に手を挙げたのであれば、その当人に対して、ご支援お願いするなんてことは、矛盾的行動である。

 なにしろ前々任者に配下として尽力したのであって、当時の責任の一端は自分にもある。かりに反省していても、容易に口外はできない。つらいところだ。

 だから、もし本当に反省しているなら、これからの行動で新規まき直し。1つひとつの課題処理を通じて、人々の信頼を獲得していこう――これが、岸田氏の気持ちではなかろうか。岸田氏の内心を忖度すれば、こうなる。

 さっそく、故赤木さんの愛妻からの手紙が届いた。単純に慰撫してすむことではない。この課題を真心込めて具体的に処理すれば、巷の風が暖かくなるかもしれないが。