論 考

衆議院選挙の最大課題

 民主主義は、具体的政策決定において、論議して、可能な限り合意の質を高めなければならない。単に、数が多ければよいのではなく、少数意見であっても、大事な部分を尊重して、合意の質を高める中に採り入れる。

 わが議会では、従来、合意の質を高めるという視点が欠落している。ために、議論が粗雑で、それぞれの所信を述べあうだけで、異なる意見の違いの中から、合意を形成する努力がおこなわれず、多数決してお終いである。

 もっとお互いが虚心坦懐に見解をやりとりせねばならない。「合意形成」こそが民主主義の本願である。

 安倍・菅9年間は、合意形成に努力するどころか、政府・与党が提案したことは全面的に認めろという態度で、ほとんどの問題が入り口段階で論議を終わり、数の力で押し切ってきた。

 今度の衆議院議員選挙は、まず、この体質を改善するために、与野党の議員数を「大・小」関係から、「相対的均衡」に持っていきたい。

 もちろん、野党第一党の立民は政権交代を掲げて戦うが、かりに政権奪取しても、いまの政府与党と同じようなことをやるのでは、民主主義の理に逆らう。

 政権奪取を前提として異なる党が結束しようとすれば、連立政権構想を話し合わねばならない。しかし、いかなる党が第一党になろうとも、「話し合いが成立する政治」を求めるという、政治の「質」こそが、大事中の大事なのである。

 だから、選挙結果における連立政権構想自体に過剰な議論をすべきではない。むしろ、これはアバウトがよろしい。

 くり返すが、今回選挙の最大の獲得目標は、安倍・菅政治を清算して、政府が議会を無視して好き放題やる事態を解消せねばならない。

 これを「強い議会・弱い政府」というのである。