論 考

連合新体制への期待

 連合の新会長に、芳野友子氏が就任する。連合副会長からの昇進であるが、所属産別でも副会長である。従来は、すべて産別の会長からの就任なので、異例といえば異例である。

 労働界のトップリーダーは、いわば労働界の総理である。政財労のトップに、初めての女性が就任することは、それなりに意義がある。(わたし自身は、性別には関係なく、その仕事にふさわしい人が就任すればよいという考え方だ)

 従来の会長と比較すれば、出身産別も格別大きくはない。従来、出身産別を背骨にして発言し行動していたとは考えないが、まあ、「日本的意識習慣」からすれば、これも新鮮である。

 戦後日本の組合は、大方は単位組合がまず結成された。企業別組合だから、どうしても従業員組合的気配が濃厚である。それでは、働く人を基盤とした大きな活動が不自由だから、単位組合が集まって産別組合を作った。

 現実に、産別の意思決定は単位組合の調整役的な面が強い。つまり、上部団体とはいうが、産別が旗を振れば、単位組合が一致結束箱弁当で行動するわけではない。産別役員が単位組合の顔色をうかがわねばならない。もちろん、それはそれで民主的という面もある。

 連合は、その産別が集まっているわけで、労働界の元締めとはいいながら、産別と単位組合の関係よりも、さらにコンセンサスを生み出すのが難しい。

 わたしが新会長と、連合執行部に期待することを整理すれば、次のようになる。

 ――組合員の力の総和が単位組合の力である。単位組合の力の総和が産別の力である。産別の力の総和が連合の力である。これは形式的システムである。

 ――連合としては、つねに職場組合員の世論を喚起するべく意識してほしい。つまり、連合運動が組合員の意識にビルトインされるように尽力願いたい。

 ――いまの単位組合は、機関(執行部)だけの活動になっている。組合員の力を、ほとんど引き出せていない。

 ――連合は、働く人の総力を結集するために結成された。単純に産別相互の調整だけやっているのでは、社会的存在感がない。これを変えたい。

 仄聞するに、新会長選出は難産だったようだ。なかなかしんどい状況から導かれた新体制であろう。あえていうが、産別は、従来以上に格別の気合を入れて新体制を構築してほしい。連合結成30年を超えた。関係者には、結成当時からみて着々進化していると誇られるように、しっかり活動してほしい。