論 考

政治の質を劣化させるパターン

 「いまはおカネを惜しんでいる時ではない」と官邸幹部が語ったそうだ。それは中長期的展望をしっかり押さえた上で、然るべき有益な使い道でなければならない。中長期的には、国債依存体質を抑制しなければならない。

 いま、やっていることは、現在の政治を運営している諸氏にとって好都合なことばかり考えているのだからお話にならない。選挙の人気取りだ。

 日本経済は、コロナ禍がなくても活力を失っている。国債借金の大盤振る舞いをすればするほど、実態経済の活力を失う。

 吉川貴盛元農相が、不整脈(不正脈ではないか)で議員辞職したが、なるほど、自分に不都合が発生して動きが取れなくなれば、政治家には辞任という手がある。責任を取る必要はさらさらない。

 後の政治運営にかかわる政治家は、スタート時点から重荷を負わされて、不人気な政治をやらねばならない。そんなことは嫌だから、厄介な問題はすべて後回しだ。自民党は昔から、政権たらい回しをするとして批判されてきたが、いまは、さらに質が劣化して、問題を後回しする体質に固まった。

 こんな状態では、後へ行くほど政権を担う気がなくなる。この伏線がますます大きくなって、もって、政治の質が低下していくわけだ。