論 考

説明責任を果たすべきだ

 感染症の専門家・岩田健太郎氏(神戸大学)が、18日に短時間であるがダイヤモンドプリンセス号に入って、見聞した内容をユーチューブで配信した。

 いわく、船内には安全区域と危険区域の区分がなく、感染症専門家が常駐せず、感染防止対策ができていない。身の危険を痛感したという。

 岩田氏は、DMAT(災害医療派遣チーム)のアシストという立場で乗船したが、厚労省内部に強い拒否意識があったらしく、短時間に退去させられた。

 DMATのメンバーは感染症の専門家ではない。短時間であっても、感染症対策で経験豊富な岩田氏が気づいたことを真摯に聞くべきだが、いわば聞く耳持たぬという対応であったという。

 厚労省は、船内隔離の有効性や船内対策について批判されるのが嫌なのであろうが、慣れてない対策を講じているのは事実であり、せっかくの専門家の知見や指摘を門前払いするべきではない。

 乗客乗員3700人中、19日時点で感染者が621人である。船内隔離の有効性をいま論じても仕方がないが、少なくとも、船内での感染防止や生活支援対策がきちんとしているのかどうか、政府の明確な事情説明が必要だ。