論 考

透明性と人々のための指標がほしい

 フランスは感染480万人超、死亡が9万6千人超である。いずれもだいたい日本の10倍という計算になる。全国のロックダウンに入り、すべての学校停止、日用品以外の小売店も閉店が今後4週間継続される。19時から6時まで原則外出禁止。自宅から10キロメートル圏外移動禁止も打ち出された。集中治療室の患者が5千人なので徹底的に抑え込もうという決断である。

 日本は、昨日で感染48.6万人超、死亡は9.2千人超である。先週から、新規感染者が退院数を大きく超えており、10万人当り感染者が、沖縄の44.67人を筆頭に10人以上が17都道府県に及んでおり、明らかに全国的拡大傾向を示している。

 感染が拡大して感染源の特定がほとんどできなくなっている。飲食店などは感染源というよりも、人が集中するからである。理屈でいえば、感染ルートを捜査して、感染源を特定する作業の大切さは変わらない。ただ網をかけても、効果が少ないのは、昨年感染拡大が始まったときからわかっていた。しかし、自粛頼みで合理的な対策が前進していない。ワクチンにしても、一挙に接種が完了しない。相当の時間がかかる。

 早期発見対策と、感染が出た場合、感染ルートの捜索を丁寧にやり、その感染源の特定をするという基本的対策をきちんと確立しなければならない。また、いままでの感染事情でわかったことがたくさんあるはずだが、目前の数字ばかりが語られて、せっかくの知見が全体で共有できていない。

 政治家のパフォーマンスが役立たないことはすでに明らかである。データを公開して、人々が行動の指標に考えられるように当局の取り組みを展開してほしい。