月刊ライフビジョン | ビジネスフロント

「働く」以外の知恵が足りない

おかぼん

 かつて労働側が5月1日のメーデーの日を祝日にして、ゴールデンウイーク(4月29日から5月5日)を7連休以上にしようとしたとき、経営側に経済への影響が大き過ぎるとかいろいろな理由で反対され、結局実現しなかった。しかし御代替わりとなると違うのだろうか、あっさりと10連休が実現してしまった。ATMでお札がなくなったとか一部で混乱はあったようだが、総じて大きな問題もなく無事に終了した。そもそも、年末年始は曜日の並びによって役所などは9連休を経験済みでもあり、大混乱など起こるはずもないと思っていたが、全くその通りであった。

 ニュースなどは「休みすぎて仕事の勘が戻らない」とか、「休みが多いとお金を使いすぎる」とか、デメリットも取り上げないと公正な報道にならないと思っているのか、いろいろ報じていたが、すべて個人の問題であって何も10連休が問題なのではない。企業によってはリフレッシュ休暇ということで、節目に9日程度の連続休暇を付与する例があるが、それを「仕事の勘が戻らないからやめてほしい」などということはとんと聞いたことがない。まあ、多少の祝い金がもらえたりするので、お金がないということはないかもしれないが。

 さて、この4月より働き方改革関連法が施行され、有給休暇を最低5日間は取得させることが義務づけられた。私が以前の会社に就職した30数年前は、同僚が入社1年目の夏に友人の結婚式に出席するため有給休暇を申請したところ、認められはしたものの「有給休暇を申請するなど10年早い」などと言われたことを考えると隔世の感がある。現在の会社の労働組合も、つい数年前まで「有給休暇取得日数ゼロの人をゼロにする」ことに真剣に取り組んでいたのである。

 そのように批判する私だが、連続して有給休暇を取るのは未だに何となく抵抗がある。先日のマラソン大会の抽選会で「海外のマラソン大会ツアー5日間ご招待」が賞品と聞いたとき、「当たったらどうしよう。果たして休めるのか。」と真剣に考えてしまった。金曜日から火曜日までの5日間なので有給休暇といっても3日、それも半年近く先の話なのに、である。

 長年の経験から染みついた意識を変えるのはなかなか難しい。連続休暇を取りつつ有給休暇を完全消化するのが普通になるのは、果たしてどれだけ先になるのだろうか。