月刊ライフビジョン | 社労士の目から

検査入院はしたけれど

石山浩一

 歩いているときの感じがいつもと違ってふわふわして、雲の上を歩くような日々が続いている。前方に見える高い塔を目標に歩いているが、身体が揺れているようで気分が良くない。左右に揺れるように歩く高齢者を時折見かけるが自分も年を考えれば十分な高齢者である。高齢の線引きには曖昧且つ主観的な部分があるが、各種公的機関が行う人口調査では64歳以下を「現役世代」、65~74歳を「前期高齢者」(准高齢者)、75歳以上を「後期高齢者」(85歳以上を超後期高齢者)と区分している。従って自分の歩く姿は後期高齢者に達しているので年相応の歩きといえる。それでも気になるので耳鼻科で診てもらったら、大学病院の高齢者医療センターを紹介され検査入院となった。

“多彩な検査”

 初日は病院の入り口で受付前にPCR検査を行い、陰性を確認後に受付を行い入院に必要な検査が行われた。最初の検査は身体測定で計測器に乗ると全身チェックが行われ、同時に各部位の分析・ボディバランス・基礎代謝量などの検査結果がきれいなカラーで表示される。全身チェックは全て標準範囲内に入っており、部位の分析でも筋肉と体脂肪の左右の数値に大きな差はなく問題は無しであった。

 ボディバランスでは筋肉量が左足に偏っているという表示があったが、それ程の偏りではなく、「サルコペニア」無し。サルコペニアとは加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことのようである。

 次に平衡機能検査である。特殊な眼鏡をかけて、目の前に出てくる赤い点を追いかけることによって測定する。赤い点が上にあったり下に動いたり、右や左にいったりするのを追いかけるのだが、めまいの症状がある人はこれで気分が悪くなるとの説明があった。しかし、検査を終わっても気分に変化はなく問題無し。続いての視力検査は、眼鏡店などで使う一般的な検査表を裸眼で測定したら0.7と0.9で、見えれば良し、のようでした。初日最後の睡眠検査は鎧のようなものを身に着けて、21時にベッドに入り翌朝6時にそれを外す。かなりの装置であり眠れるか心配だったが杞憂に終った。

 2日目は脈波測定・心電図で始まった。脈波測定は両腕と両足に血圧検査の時に使用するような腕帯を巻いて静かに横たわっているだけの検査で、異常無し。次の呼吸機能検査と胸部Xpはレントゲン検査で特に印象は残っていなく、軽度閉そく性のコメントが添書されていた。

 午後の平衡感覚検査はめまいに関する検査のようで、フロアーにある固い台の上と柔らかいクッションの上に目をつむってそれぞれ60秒間立つことです。意外とゆらゆらするもので、足がふらつきそうになったりしたが何とか持ちこたえることができました。その後はトレーナーと一緒に10メートル歩いてスピードや姿勢のチェックでしたが、問題無しで平衡検査は終了となった。

“結果はすべてが正常”

 3日目は栄養指導で、栄養士による糖尿病に関する食事制限が詳細にありました。これまでの定期健診で糖尿病の指摘はありませんでしたが、知識として聞いておくことにしました。

 これで2泊3日の検査はすべて終わり、最後に主治医から評価の説明です。結果は①意欲、②認知機能(復習)、③手段的ADL、⑤認知機能(遅延再生)⑤基本的ADL(入浴)、➅基本的ADL(排泄)、⑦情緒の各項目の評価はすべて正常で現在のところ問題はなしとのことでした。

 これまでは毎朝近くの公園で行われているラジオ体操に参加し、その後1kmほど歩いて運動公園に行きます。そこにあるアームで腕立と腹筋ベンチで腹筋を10回、背中を反らすベンチ1分間反らし、さらに藤棚の鉄柱で1分間ぶら下がりをして戻ると約5千歩の歩数となります。こうした運動の成果が今回の検査入院の結果のようで、安心すると同時に嬉しく思いました。

 これからも後期高齢者の過ごし方としてこれらの運動を継続し、健康に気を付けて迷惑をかけない老人として世に憚りたい、という気持ちを新たににした今回の検査入院でした。

<ISRレポート>令和4年11月28日 


◆ 石山浩一:特定社会保険労務士。ライフビジョン学会顧問。20年間に及ぶ労働組合専従の経験を生かし、経営者と従業員の橋渡しを目指す。  http://wwwc.dcns.ne.jp/~stone3/