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抜本的な高齢者対策を訴える

おかぼん

 少子高齢社会と言われて久しい。総人口が減少しているにもかかわらず、高齢者の人口は増え続け、昨年65歳以上の高齢者は3,627万人、うち75歳以上の後期高齢者は1,937万人に増えた。高齢者の総人口に占める割合は29.1%、後期高齢者のそれは15.5%に達し、当面は増え続ける見込みである。

 これら高齢者が心身共に健康であればよいのだが、ことはそう簡単なものではなく、高齢者が多くを占める認知症だけでも2025年には700万人に達すると言われている。実に高齢者の5人に1人が認知症になるわけである。介護問題は待ったなしである。

 認知症に至らなくても、思い違いやうっかりミスは若者よりはるかに多い。自動車の運転だけでも高速道路の逆走、歩道の誤走行、アクセルとブレーキの踏み間違いなどがあり、大きな惨事になったときなどはニュースで報道されるが、それに至らない軽微な事故は相当あると思われる。免許の自主返納制度があるとは言え、交通弱者対策が十分でない地域では切実な問題である。

 他人事ではない。実は私の義母も先日交通事故を起こし、幸いにも軽微な物損事故で済んだのだが、運転中に気を失って歩道を走行していたとのことで、まかり間違えば大事故になるところであった。

 高齢者が加害者になる問題だけではない。逆に被害者になる例は枚挙にいとまがない。その最たる例は特殊詐欺であろう。昨年の被害額は再び増加に転じて361億円に達したという。警察もあの手この手で対策を打っているが、特殊詐欺グループも組織化が進みその手口もますます巧妙になっておりいたちごっこである。

 また、悪質な勧誘で強引に契約させる悪徳商法も問題である。架空請求などは明らかに犯罪だが、判断力が衰えてきた高齢者が言葉巧みな営業トークで購入してしまうケースも数多い。もちろん、一定期間であれば取り消すことは可能であるが、消費生活相談の中には契約した経緯もわからないケースもあるという。

 今後10数年で総人口の3人に1人が高齢者になり、5人に1人が後期高齢者になると予想されている。公助だけに頼れる状況ではない。自助、共助も含めた抜本的な高齢者対策が求められる。