月刊ライフビジョン | ビジネスフロント

定期的な自動車教習の機会を -Ⅱ-

音無 祐作

 先日、知人が「昨日は、車がパンクしていて、修理にも行けず、動けなかった」と言うので、「スペアタイヤに換えてカー用品店に行けば、すぐでしょ」と言うと、「タイヤの換え方なんてわからないし、そもそもスペアタイヤがどこにあるかもわからない」との事。

 車好きの私としては、驚いてしまいましたが、かつてのバイアスタイヤなどに比べ、格段とパンクの可能性も低くなった現在では、タイヤ交換という行為が身近ではない方は多いのかもしれません。

 スペアタイヤは、内装をめくった奥にあったり、車の下にぶら下げるようについていたり、はてはエンジンの上にあったりと、車種によってまちまちで、あらかじめ知っておかないと、突発的な状況ではパニックになるでしょう。そのうえ、最近では、スペースの確保と軽量化、そして環境対応のため、スペアタイヤを搭載せず、パンク修理キットが装備されているケースもあります。

 近頃流行の新しい装備のひとつに運転支援システムがあります。最近では、軽商用車、いわゆる「軽トラ」などにまで装着が設定され、かなり一般的となってきた感があります。使い慣れてしまえば非常に便利な機能なのですが、ハンドルの一部にところ狭しとスイッチが並んでおり、アイコンや略称のアルファベットしか表示されていないため、一見なんの機能かはわかりづらく、誰でもいきなり簡単に使いこなせるとは思えません。

 また、車によって、どこまで支援してくれるのかもまちまちで、その車の持つ機能範囲も分からずに「自動運転」と過信してしまうと、危険な事故につながる可能性があります。

 電動化や変速機の進化などにより、シフトレバーの形も大きく変化し、最近では「レバー」である必要もないだろうと、ドライブレンジの切り替えがボタンスイッチなどのクルマもあり、便利な反面、そういった新しい操作方法に慣れないドライバーによる誤発進事故につながっているのではないか、という意見も出てきています。

 先月の当欄では、そういった新技術や新機能などへの対応のためにも、定期的な運転技能教習の機会を設けることを提案しました。そういった教習を制度化することによって、近年経営の厳しいとされる自動車教習所などの産業も潤い、カーメーカーなどともタイアップすれば、安全運転支援装置の充実した新型車への買い替え需要も生まれ、経済の活性化にも役立つような気がします。

 とはいえ、個人としては、そんな制度化を待っているだけではどうしようもありません。自身の安全運転技術の維持・向上のために、JAFやカーメーカーが主催する安全運転セミナーなどに参加するのがお薦めです。私は以前、富士スピードウェイの敷地内で、トヨタが行っている運転セミナーに参加しましたが、目から鱗がボロボロ落ちるような経験をすることができました。

 今年は、ホテルや博物館も新たに開設され、観光としても楽しめると思います。ご興味のある方は、一度体験してみてはいかがでしょうか。